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緩和ケアで変わる町<2>ネットで患者の情報共有

「患者さんが『病院に入院したい』と言っています」

 山形県鶴岡市の中村内科胃腸科医院院長、中村秀幸さんは、診療所のパソコンで、訪問看護師が書き込んだ内容に注目した。2010年12月上旬のことだ。

 在宅医療は、勤務先が異なる医師、看護師、薬剤師、ヘルパーらが関わるため、情報の行き違いが生じてしまうことがある。

 これを防ごうと、緩和ケアの普及・向上策を探る国の地域研究「庄内プロジェクト」では、鶴岡地区医師会が運用する電子カルテシステム「Net4U(ネット・フォー・ユー。以下ネット)」が活用された。

 ネットには、関係する医療者らが患者の病状や処置などを入力して情報を共有し、連絡事項も書き込める。

 冒頭の患者は、進行胃がんの板垣美千子さん(当時58歳)。市立荘内病院に入院して治療を続けてきたが、この年の10月下旬、「最期は家に帰りたい」と希望して自宅に戻った。

 それからは、同病院緩和ケアチーム医師(現・山形大病院疼痛(とうつう)緩和内科病棟医長)の奥山慎一郎さんの依頼を受け、中村さんが訪問診療をしてきた。

 美千子さんは点滴の管をつけており、寝返りが打てない苦しさから、夜間でも15分ごとに夫の良司さん(60)に体位を変えてもらっていた。入院を希望したのは、「寝不足の夫にこれ以上負担をかけたくない」という思いからだった。

 中村さんはネットに、奥山さんに対応をお願いする旨の書き込みをした。すぐに奥山さんが自宅を訪ね、良司さんと一緒に美千子さんから話を聞いた。その結果、訪問看護を手厚くするなどして良司さんの負担を軽くし、在宅医療を続けることになった。

 中村さんは「患者と家族の揺れ動く気持ちが伝わってきた。ネットによる情報交換が生きた」と話す。

 美千子さんに関する書き込みは、46日で150回に及んだ。足がむくんで痛い時は、看護師がネットに書き込んで良い対処法を探した。奥山さんが病状を診て鎮痛薬の処方について書き込み、中村さんが参考にすることも多かった。「緩和ケアの経験が少なかったので、とても助けられた」と中村さんは話す。

 12月中旬の朝。美千子さんは、保育園に向かう当時3歳の孫といつものハイタッチを交わした後、眠るように亡くなった。良司さんは「最期まで家族と過ごせて良かった」と振り返る。


 【Net4U】2002年から運用し、病院、診療所、介護保険事業所など55施設が参加。患者の承諾で情報が登録され、関係者が閲覧できる仕組み。1か月の新規登録患者は500~600人。年間運用費400万~500万円は医師会が全額負担する。
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